黒潮の贈り物 「初がつお」
「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」
江戸中期の俳人 山口 素堂の詠んだ有名な句です。
さわやかですね、この句は新緑が目にまぶしく
心地よいそよ風が頬をくすぐる中 山ではほととぎすがさえずり
目の前には初鰹
初夏のすがすがしい一場面が目に浮かんできますね。
(実際の解釈には新緑を楽しんだり、鳥の囀りを
聞いている分にはお金はかからないが初物の鰹を
食べるには随分と無理をしなければならないな、
そんなことを嘆いた句のようです。)
さて、この初鰹ですが
1月ころに南の暖かいフィリピン沖から黒潮に乗り
2~3月には九州沖に到達してそこから北上を始め
4月ころには駿河湾沖でたくさんのイワシを食べ、北上を続けます
そして丸々と太って水揚げされるのがいわゆる
「初がつお」と呼ばれるものです。
この初ガツオのおいしい食べ方の中の一つに
「鰹たたき」があります。
作り方はまずかつおの表面をこんがり焼いて
旨みを均一化させます、
そしてポン酢が絡みやすいように、切りかけ造りにして
切り込んだ身をパンパンと叩きます。
鰹はこの叩くと言う行為により身の中にイノシン酸が生成され、
より味わいが深まりかつお特有の美味しさになります。
春の初鰹は「たたき」にして食べるのが化学的にも裏ずけられた
美味しさなんですね。
そしてこの鰹たたきのおいしい食べ方は
気取らずに豪快に「がばっ」と食べるのが一番おいしいと思います。
ねぎをどっさり、青じそたっぷり、にんにくいっぱい、そこに
柑橘の絞り汁で風味をつけてポン酢に絡めて
にんにくの匂いなんか気にせず 「がばっ」}と食べる。
これが一番のおいしい食べ方です。
ぜひ期間内にお試しください。
味暦 三六 店主 渡辺 満樹